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January 2015| ファツィオリ日記トップMarch 2015

美浜町なびあすホールとルービンシュタイン・ガラコンサート

福井県町村会のふくい自治時報月旦評に、同ホールで行われたルービンシュタイン入賞者ガラ・コンサートのオールラウンドな紹介が掲載されました。ピアニスト、ホール、弊社関係者一同にとっても,とても感激的な一夜でしたので、ここにご紹介します。

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"幻" といわれるイタリア製のピアノをルービンシュタインコンクールの上位入賞者が演奏すると聞いて、美浜町生涯学習センター「なびあす」まで 出かけた。音楽の知識に乏しいが、同コンクールの最終審査では高級ピアノの代名詞、スタインウェイとイタリア製のファツィオリのピアノが選 べるようになっていた。フィナリストとなった6人のうち5人が後者を選んだという。聞いたことのないピアノだが最高機種のファツィオリF308はわが国のホールでは美浜が初めて導入したという。その音色を聴いてみたくなった。しかも奏者は世界的なコンクールの1、2位と聴衆賞を受賞した3人。それだけでも行く価値はある。ピアノについてはよく知らないので少し調べてみた。ファツィオリ F308は奥行きが3メートルを超える世界最大のピアノで、迫力ある音と長くなった低音域の弦から生まれる倍音は驚愕するものがあると書かれていた。

どんなピアノか楽しみにして美浜に向かった。会場の生涯学習センター「なぴあす」は2012年に完成した施設で図書館なども併設した県内有数のも のだ。文化ホールは489席の中規模だが、ホール全体が反響板で包まれ3人の演奏家が奏でる響きは、これまで聴いた音色とは一味違っていた。べートベンの重厚感あふれる曲から、現代音楽と幅広い曲目が演奏された。いずれも深みのある響きに酔いしれることができた。アンコールに応えて3人 並んでの連弾を披露したのには驚いた。連弾は2人と決まっているものと思っていた。F308の特性生かそうとしたのだろう。ピアノには足で 操作するペダルがある。通常は3本までだが、美浜のピアノには4番ペダルがあり「音色を変えることなく音量のみが小さくなる」ことが特徴。3人での連弾はピアノの能力を最大限引き山し、これを聴くことができ、うれしくなった。会場が感動で包まれたことは言うまでもない。

嶺南だけでなく福井市など嶺北からも数多く訪れていた。県外からも演奏会のことを知り、駆けつけた人もいた。国内では聴けるところが限られている ピアノがなぜ、美浜町にあるのか不思議だった。帰り際ロビーであいさつを交わしていた山口治太郎町長に尋ねた。すると「美浜町出身で在住のオ ペラ歌手、野原広子さんが推薦してくれました」との答えが返ってきた。 一台のピアノにも地元とつながるエピソードがあった。野原さんはイタリア のフィレンツェで活躍、現在は故郷の美浜町を拠点に活軌している声楽家だ。イタリア時代に知ったピアノの素晴らしさをふるさとに伝えてくれた。

緑という点では演奏会を後援した駐日イスラエル大使館から文化担当のニール・タルクさんが駆けつけ、ルービンシュタインコンクールがエル サレム(「注」実際にはテル・アビブ)で開催されるようになったいきさつなどを紹介した。演奏会の前にユダヤ人に命のピザを発給した杉原千畝関連の展示をしている敦賀ムゼウムを視察し「日本人の温かさに触れた」と話していたのも印象に残った。世界でも数少ないピアノを生かした音楽祭や学生向け合宿など全国から人を呼び、まちを元気にする起爆剤に使えるのではと思いながら帰途へのハンドルを握った。


お久しぶりLP!

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数十年ぶりに、新発売LPを頂いて、聴きました。

弊社には昔の私のLPコレクションが数百枚あり、時折聴きますが、新しいLPのスムーズな音は非常にお久しぶりです。やはり、良いフォーマットですね!

この一枚は西山瞳さんの録音ですが、スタジオはおなじみの高崎のTago Studio、ピアノはFazioli F278です。

CDもありますが、LPを聴きたい場合は弊社へお越し下さい(ピアノのライブ音も聴きましょう)!

ルービンシュタイン国際ピアノコンクール入賞者ツアー(エピローグ)

1月22日から始まった5ホール、7公演のツアーは終わり、ピアニスト達は帰国の途に着きました。

3人ともに、レベルの高さで定評のある日本のホールで初めて演奏できることに胸をときめかせてやってきました。どこへ行ってもまず、ホールの音響チェッ ク、テスト、音響とピアノ調整、リハーサル、交代で練習、と最後まで気を緩めることなく、演奏に集中。自分の演奏レベルを維持しようという真摯な姿勢と集 中力に感動しました。本当に気持ちのいい若者たちでした。
 
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後半の4公演のうち3公演は完売し、公演ごとに盛り上がっていく拍手とサインを求める長い列。

名古屋では河村たかし市長も、コンサートに列席されサインの列に並ばれていました。Antoniiの前に来た時に「床屋に行きなさい」と英語で貴重なアドバイスを。Antonii はいつものごとく動ぜず。「お顔を見せて」と仰ったた年配のご婦人も。
我々のあいだでも、彼の髪型をどうすべきかという議論はつきませんでしたが、結論は出ずじまい。どこまでも純粋な芸術家肌のAntonii。「どうでもいいこと」のようです。
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今回のツアーでは一人一人のピアニストの魅力を紹介できるよう、時間を長めにとりました。「同じピアノなのに引きだす音が全く違い、全く違う魅力」という声が多く聞かれました。私の「一番好きな人」はどこでも3分する形で、ガラコンサート冥利につきました。
アンコールは2分半のラフマニノフの6手のワルツで、ここでも、三人の出す音の違いが美しく混じり合っていました。6手は初めての方も多く。「とても微笑ましいと」大きな拍手を頂きました。

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最終日の美浜町のなびあすホールにはFazioliの最大モデルF308が常設されています。
東京のショールームで4本ペダルを初めて経験したStevenが、試してみたいというので、急遽ペダルを変更。本番でも頻繁に4本ペダルを使用してご機嫌でした。この挑戦力と適応力すごいです。
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最後の夜の打ち上げは、地元漁師さんの家で朝採られた海産物が豪華にならび、皆食べるのも忘れ、携帯で連写。
3人が初めて気が抜けた瞬間でしょう。
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   (左より:Steven Lin, Maria Mazo,
Antonii Baryshevskyi)

翌日Antoniiは一人で京都へ、Stevenは温泉へ、Mariaは高崎の多胡スタジオでコンサート・録音入りをしました。

3人の若きピアニストと暮らした10日間の間に、彼らの才能と将来性をさらに確信した時間でした。また、日本でコンサートの機会があると良いですね!


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