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ショパンコンクールへの道 (3)

そんなパオロの情熱に後押しされ調整も順調に進行した2日目の朝、突然パオロにホールへ呼ばれました。工場には音楽ホールもあり、調整室から段差なくホールステージまで運ぶことが出来ます。ステージには私の知らないF278が1台あり、パオロに促され弾いてみました。なんということでしょう!!!あまりの驚きに声もありません。もうこのピアノがコンクール用としか考えられないような楽器でした。そんな思いをパオロに伝えたところ、このピアノも調整出来るかとの質問。今回の工場滞在の予定は3日間、フライトスケジュールもそれに合わせて組んでありましたが、とにかく変更手続きをしてもらい滞在を延長しました。"とにかく凄いピアノ"という事で今回再び工場に来ましたが、それをも上回る楽器が完成していたのです。この工場に来るといつも何かしらのサプライズがありますが、今回は最大のサプライズでした。調整室に戻り1台目の調整を再開しました。
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この楽器も大変素晴らしく大満足でしたが、現状に甘んじることなく常に向上心を持って楽器と向き合う事の大切さ、そんな楽器造りの精神の原点がここファツィオリにはあると確信しました。"伝統"だから"完成"しているからということで、封印されてしまったこの精神をファツィオリと出会い、再び気付く事ができました。

(つづく・・・)

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