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ショパンコンクールへの道 (2)

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 サチーレのファツィオリ工場を訪れるのはかれこれ5度目ですが、この工場は何度来ても楽しい工場です。工場と言うよりは大きな工房といった雰囲気ですが、実に機能的にレイアウトされており、ワンフロアーで段階的にピアノが製作される過程を見る事が出来ます。とても明るく整理整頓が行き届いた清潔感溢れる工場です。
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そんな工場から造り出された"とにかく凄いピアノ"の調整が始まりました。いつもの様に日本から工具一式を持ち込み、調整室に閉じ籠りの一日ですが、集中するには申し分のない環境とピアノでした。時折パオロが様子をうかがいに部屋にやって来ますが、私は部屋に到着する前にパオロが来るという事が分かります。彼は工場にある既に完成したピアノや完成途中のピアノを弾きチェックしながら来るのです。一通り弾いたピアノについて職人とのディスカッションを終えた後やって来ます。こんなことからも彼のピアノにかける情熱がひしひしと伝わってくるのです。「最高のピアノを造る」という情熱を現在まで30年間持ち続け、今回のショパンコンクールの公式ピアノ採用となった訳ですから、パオロのかける想いは否応がなしに私に伝わってきます。
(つづく・・・)

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