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ショパンコンクールへの道 (9)

ようやく1次審査も始まりましたが、それまでの1週間が1カ月の様な気さえする、とても濃密な時間が経過しました。調律師である私はピアノの移動などで審査中は舞台袖にいなければならないと思っていましたが、ピアノの移動はワルシャワ国立フィルのスタッフに任せることが分かりました。ということは演奏中は客席で聴けるということです。

普段の仕事ではリハーサルは客席で聴けることはあっても、本番を客席で聴けるチャンスは中々ありません。ましてやコンクールとなりますと参加者が競う訳ですから、こちらとしましても失敗は許されない真剣勝負の場となります。まじまじと自分の仕事をしたピアノの音を聴くわけですから、客席で聴いている私も音楽を聴くというよりは、"無事に終わって下さい"とひたすら念じるばかりでした。しかしそんな状況をも忘れさせてくれるような感動的な演奏を聴かせてもらえた場面も数々ありました。

ショパンコンクールのHPではVideo archiveとして参加者全員の演奏を聴けますので、ぜひお聴きになってみて下さい。1次審査の結果ではファツィオリを選んだ4人全員が通過し、2次へと進みました。審査結果の発表は21時からの予定で私もロビーで待ちましたが、0時半になっても発表はされず、私が4時半に起床しなければならない事を知ったDumontに促され諦めてホテルへと帰りました。結果を知ったのはベッドに入る直前でした。全員が通過した事を知ってガッツポーズをとったのは言うまでもありません。

つづく・・・

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