ファツィオリ日記

黒檀のF228をご覧下さい!

「ショパンコンクールへの道」はまだまだ続きますが、弊社の越智は調律の仕事で非常に忙しいですので、しばらくお待ちください。 新着のゴージャスなピアノをご紹介します!:
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このピアノはF228ですが、Macassar Ebony材(黒檀)の仕上げです。この仕上げはFazioli史上初めてです。 今まで、Fazioliの木目ピアノを造るときは、ほとんど素敵な玉杢の木材を使用しました。「Burr」もしくは「Briar」とも呼ばれ、根っこ近くの木目が非常に複雑なのが特徴です。 たとえば、以下のピアノはウォルナットのBurrです:
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一般のウォルナットより、Burrの高級さはすばらしいですね! 逆に、黒檀は非常にElegantな木材です。特にピアノには昔から使用されてきました・・・そう黒鍵は同じ黒檀ですね。 このピアノを造るために、イタリア工場との色々な相談が必要でした。大きな問題点は化粧板の長さです。F228のボディの長さのために普通より長い化粧板が必要でした。試行錯誤の末、パオロ・ファツィオリ自身も大変喜ぶ出来上がりとなりました。彼の美的センスをくすぐる仕上がりとなり、、これからもっと黒檀のピアノをチャレンジしたいそうです。 しかし・・・第一号は日本にあります!!! 到着したばかりですが、すでにたくさんの方々がご覧になり、感激されました。 ぜひ、一度パオロ・ファツィオリのクリエーションをご覧下さい。そして楽器としての素晴らしさもご体験下さい。 (P.S. 他の写真を「最新カスタムメードピアノ」のページでご覧ください!


ショパンコンクールへの道 (10)

1次審査発表の翌日、コンクールはお休みですが各メーカーの調律師は休むことは出来ません。メーカーごとに時間が割り振られ、各々ピアノに向かいます。1次審査のピアノを弾いた感想をそれぞれ4人から聞き、ピアノの調整の方向性を検討します。リクエストもタッチが軽いのを好む人や重いのを好む人、音色に至ってはピアニシモはそのままにもっとパワーを欲しいなどそれぞれでした。幸い4人の審査日が分かれたため、それぞれのリクエストを加味しながら調整することが出来ましたが、参加者にとっては調整後のピアノを事前に試弾する事も出来ず、ぶっつけ本番という状況の中での演奏です。客席から見守る私も演奏開始後の表情や音、終了後に聞いたリクエストを踏まえ、次の審査の為に調整を再検討します。
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こうして5日間に及ぶ2次審査も終わり、直後の21時から23時45分が私に与えられた作業時間でした。その間に2次審査の発表があった為、1次に続き2次の審査発表にも立ち会うことは出来ませんでした。ポーランド人の技術者が作業中の私に結果を伝えにきてくれましたが、4人全員を3次へと後押しする事が出来ませんでした。とても残念でしたが、堂々たる素晴らしい演奏は今でも私の記憶に残っております。

つづく・・・

ショパンコンクールへの道 (9)

ようやく1次審査も始まりましたが、それまでの1週間が1カ月の様な気さえする、とても濃密な時間が経過しました。調律師である私はピアノの移動などで審査中は舞台袖にいなければならないと思っていましたが、ピアノの移動はワルシャワ国立フィルのスタッフに任せることが分かりました。ということは演奏中は客席で聴けるということです。

普段の仕事ではリハーサルは客席で聴けることはあっても、本番を客席で聴けるチャンスは中々ありません。ましてやコンクールとなりますと参加者が競う訳ですから、こちらとしましても失敗は許されない真剣勝負の場となります。まじまじと自分の仕事をしたピアノの音を聴くわけですから、客席で聴いている私も音楽を聴くというよりは、"無事に終わって下さい"とひたすら念じるばかりでした。しかしそんな状況をも忘れさせてくれるような感動的な演奏を聴かせてもらえた場面も数々ありました。

ショパンコンクールのHPではVideo archiveとして参加者全員の演奏を聴けますので、ぜひお聴きになってみて下さい。1次審査の結果ではファツィオリを選んだ4人全員が通過し、2次へと進みました。審査結果の発表は21時からの予定で私もロビーで待ちましたが、0時半になっても発表はされず、私が4時半に起床しなければならない事を知ったDumontに促され諦めてホテルへと帰りました。結果を知ったのはベッドに入る直前でした。全員が通過した事を知ってガッツポーズをとったのは言うまでもありません。

つづく・・・

ショパンコンクールへの道 (8)

いま日本へ帰国する飛行機の中で、ブログのつづきを書いています。本来であれば開催期間中にアップ出来れば良かったのですが、予想以上の不規則な生活の為、何よりも睡眠を最優先にしておりました。とはいえ睡眠が取れずの日や取れても1時間から最高でも4時間半という生活の繰り返しでした。そんな生活うえ、仲間の技術者は1次審査の途中で体調を崩し、ドイツへと帰国してしまいました。そんな状況から体調管理には十分気をつける日々でしたが、最も大事なことは自分を支える精神力だったかもしれません。
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 参加者の演奏順は事前のくじ引きで決定されます。この演奏順は1次審査からファイナルまで特別な事がない限り守られます。審査が段階的に進むにつれ、人数は半分ずつに絞られていきます。ファツィオリを選んだ参加者の順番はTRIFONOV→VENEZIANO→WATANABE→DUMONTといった順番になりました。選んでくれた参加者の数こそ一番少なかったですが、これをメリットとして考えると常に良い状態の楽器を演奏者に提供出来るという事です。この責任は私が最後まで全うしなくてはいけません。ホールの音響は日本のホールと比べるとかなりデッドな印象です。ピアノ選定時の4人の感想から、1次審査までに音の調整が必要と考えました。作業時間は深夜の4時間だけですが、日中から頭の中で作業の計画をたてていましたので、有効的にこの時間を使うことが出来ました。普段であれば1日かけて行うような作業でしたが、こんな状況の時は何か別の力が働くのかも知れません。
つづく・・・

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